ARCHITECT GUIDE
防煙垂れ壁は「製品を選ぶ」前に、防煙区画線と天井断面を決める。
設計段階で防煙区画、排煙方式、天井高さ、設備、意匠を整理できれば、フレームを目立たせず施工性の高い納まりを選びやすくなります。
01 / POSITION
防煙垂れ壁は、建築・設備・内装の「境界部材」
防煙垂れ壁は建築基準法上の排煙計画に関わりながら、実際の取付は天井・壁下地に依存し、見え方は内装意匠に大きく影響します。さらに照明、空調、サイン、スプリンクラーなど設備と同じ天井面を共有します。
そのため、設計後半で「設備図から出てきた区画線に製品を置く」進め方では、意匠や施工に無理が出やすくなります。基本設計で防煙区画線を確定し、天井伏図と断面図で納まりを検討するのが理想です。
02 / REGULATION
法令は「50cm」「500㎡」の数字だけでなく、排煙方式とセットで読む
防煙垂れ壁は建築基準法施行令第126条の2・第126条の3に関係します。一般的な仕様では床面積500㎡以内ごとに防煙壁で区画する考え方がありますが、用途、規模、自然排煙・機械排煙、性能規定、適用除外等で条件が変わります。
2025年11月施行の改正では、防煙壁として扱える準耐火構造が追加され、50cm以上突出した梁を防煙壁として扱えることも明確化されました。最新案件では現行法令・告示・技術的助言を確認します。
防煙区画線の変更は排煙口位置・区画面積・固定荷重等にも影響する可能性があります。意匠変更時も「軽微な変更か」を含め確認が必要です。
03 / MATERIAL
材料選定では、透明性・重量・破損時の挙動を数値と構造で比較
板ガラス製は透明性と剛性が高く、一般的な選択肢です。一方、不燃シート製は軽量で、ガラスのように破片飛散しないという特徴があります。地震時の安全性や改修性を重視する場合は比較検討の価値があります。
| 設計項目 | 板ガラス製 | 不燃シート製パラスモーク |
|---|---|---|
| 透明性 | 高い | 高透明仕様あり(90〜92%) |
| 重量 | 大きい | テンション約1/30、パネル約1/10 |
| 破損時 | 破片飛散への配慮 | ガラスのような破片飛散なし |
| 形状対応 | 加工・支持条件を検討 | 段差・円形・変形等に対応可能 |
| 改修 | 搬入・揚重を確認 | 軽量で現場調整しやすい方式あり |
04 / DETAIL
納まりの良し悪しは、端部・連結・天井段差で決まる
防煙垂れ壁は長い直線部より、端部や折れ点で設計の差が出ます。壁際の端部ケース、柱との隙間、L字連結、段差、梁下、カーテンボックスとの交差などを断面で確認します。
設備との干渉は、天井伏図に防煙区画線を明確に表示して調整します。ペンダント照明やサインが区画線を横切る場合、位置変更・切替・納まり変更を早い段階で決めます。
05 / SEISMIC
非構造部材として、層間変形への追従性と頭上重量を評価
国土交通省の官庁営繕「建築設計基準」では、ガラス・天井・間仕切り等の非構造部材について、層間変形への追従性と地震力に対する安全性を確保する考え方が示されています。
防煙垂れ壁も頭上の非構造部材として、重量、固定方法、周辺部材とのクリアランス、地震後点検性を検討する価値があります。テンションタイプでは建物の歪みに追従する端部構造を採用しています。
06 / TYPE
設計意図からテンションタイプとパネルタイプを使い分ける
TENSION TYPE
線を消したい設計
直線・長尺、売り場・ロビーなど。横枠をスリムにしやすく、視線の抜けを重視する空間に。
PANEL TYPE
形を追いたい設計
段差・クランク・円形・変形。天井形状を崩さず防煙区画線を追いたい空間に。
07 / DOCUMENT
実施設計で明記しておきたい項目
製品・タイプ
テンション/パネル、シート種類。
区画ライン
平面・天井伏図で位置を明示。
高さ
天井からの垂れ下がり・下端レベル。
下地条件
支持先、補強、端部固定。
認定情報
不燃材料等の必要な仕様を確認。
特殊部
段差・連結・クランクを詳細図化。
製作可能寸法や端部納まりを早めに確認すると、実施設計後の天井・設備変更を減らせます。
08 / FAQ
設計者からよくある質問
Q. 防煙垂れ壁の図面はどの段階で相談すればいいですか?
基本設計〜実施設計の早い段階がおすすめです。防煙区画線と天井高さが分かれば、タイプ・納まりの方向性を検討できます。
Q. CADデータや納まり図はありますか?
製品詳細ページに納まり図を掲載しています。案件固有の特殊納まりは図面条件を確認して提案します。
Q. 仕様書で「不燃シート製」とだけ書けば十分ですか?
不燃認定、シート種類、製品構造、寸法、支持方法など必要性能が伝わるよう具体化することをおすすめします。
REFERENCE