MAINTENANCE GUIDE
「動かない固定式」でも、点検不要ではありません。
防煙垂れ壁は防災設備の一部です。固定式は機械作動部がないため保守負担を抑えやすい一方、損傷・緩み・変形・汚れを定期的に確認し、機能と外観を維持する必要があります。
01 / WHY
防煙垂れ壁は「普段使わないからこそ」、異常に気づきにくい
ドアや照明のように毎日操作する設備は不具合に気づきやすいですが、防煙垂れ壁は日常の使用感がありません。そのため、フレームの緩み、ガラスの小さな欠け、シートの傷、端部の変形などが長期間見過ごされることがあります。
国土交通省の保全資料でも、防煙垂れ壁について定期点検・確認、損傷や亀裂がある場合の専門業者による調査・補修が示されています。施設の保全計画に対象として明記することが重要です。
02 / FIXED TYPE
固定式は、支持部・材料・端部・周辺設備の4点を目視確認
支持部
フレーム・固定金物に緩みや変形がないか。
材料
ガラスの欠け・ひび、シートの破れ・深い傷。
端部
壁・柱との隙間や連結部に異常がないか。
周辺設備
サインや照明が接触・干渉していないか。
固定式は動作試験を必要としない点がシンプルですが、防煙区画として所定の位置を維持していることが前提です。位置を勝手に変更したり、テナント改装で部材を切除したりしないよう管理します。
03 / MOVABLE TYPE
可動式は、見た目の点検に加えて「正しく動くか」を確認する
国土交通省の「建築保全業務共通仕様書」では、排煙設備の機能点検として、可動防煙壁の作動状況、煙感知器等からの連動作動、復帰が円滑に行えるかなどを確認する内容が示されています。
可動式は通常時に収納されているため、異常が表面化しにくい点に注意が必要です。駆動部、制御、電源、降下範囲の障害物などを含め、専門業者による点検計画を立てます。
FIXED
固定式
作動機構がなく構造がシンプル。主に目視・固定状態・損傷を確認。
MOVABLE
可動式
作動機構・制御を持つため、定期的な動作確認と復帰確認が重要。
04 / CLEANING
清掃は「透明性を保つ」だけでなく、異常を見つける機会になる
透明な防煙垂れ壁は、ほこりや手あか、水滴跡が目立つと空間の印象を損ないます。特に商業施設・ホテルでは、定期清掃の対象に入れて外観を維持します。
不燃シート製はガラスとは表面性状が異なるため、研磨剤や硬いブラシなどで強く擦らず、製品ごとの清掃方法に従います。清掃時にフレームの緩み、シートの傷、端部の浮きも一緒に確認すると効率的です。
「きれいにする作業」と「安全を確認する作業」を分けず、清掃チェックリストに異常確認を組み込むと見逃しを減らせます。
05 / AFTER EARTHQUAKE
大きな地震の後は、通常周期を待たずに臨時点検
地震では、見た目に損傷がなくても固定金物が緩んだり、天井や壁が変形して端部に力がかかったりすることがあります。垂れ壁の傾き、フレームのずれ、接触跡、ひび・傷を確認します。
国の建築設計基準でも、非構造部材は地震後の点検・補修が容易なものとする考え方が示されています。地震後の施設再開判断に、防煙垂れ壁を含む頭上設備の確認を組み込みます。
06 / TROUBLE
損傷を見つけたら、テープや仮固定で済ませず専門業者へ
ガラスにひびがある、シートが破れている、フレームが外れかけている、端部に大きな隙間ができている場合は、防煙区画としての機能や落下安全性に影響する可能性があります。
国土交通省の保全資料でも、防煙垂れ壁に損傷・亀裂等がある場合は専門業者に調査・補修を依頼する方針が示されています。特に位置変更や固定方法変更は法令・防煙計画に関わるため、自己判断で行わないことが重要です。
07 / RECORD
竣工図・製品情報・点検履歴を残すと、将来の改修が早くなる
防煙垂れ壁は長期間使われるため、担当者が変わると製品名や支持方法が分からなくなることがあります。竣工図、施工写真、製品仕様、認定情報、点検・補修履歴を施設台帳にまとめておくと、異常時の判断や交換手配が早くなります。
テナント改装が多い施設では、防煙区画線を図面上で明確にし、改装申請時に確認できる運用にすると有効です。
08 / FAQ
防煙垂れ壁のメンテナンスでよくある質問
Q. 固定式なら点検しなくてもいいですか?
固定式でも損傷、緩み、変形、周辺設備との干渉を確認する必要があります。施設の法定点検・保全計画との関係は建物条件に応じて専門家へ確認してください。
Q. シートを自分で張り替えられますか?
防煙性能や張力、固定方法に関わるため、メーカー・施工業者へ依頼してください。
Q. 清掃にアルコールを使えますか?
材料によって適否が異なります。製品の取扱説明・メーカー指定の清掃方法に従ってください。
REFERENCE