SEISMIC SAFETY

防煙垂れ壁は「火災時に機能すること」と「地震時に人を傷つけないこと」の両方が重要です。

構造体が倒壊しなくても、天井・ガラス・間仕切りなどの非構造部材が落下すると、避難や施設の継続利用に大きな影響を与えます。頭上設備である防煙垂れ壁も同じ視点で考える必要があります。

落下防止軽量化追従性地震後点検

01 / RISK

建物が倒壊しなくても、非構造部材の落下は起こり得る

地震対策というと柱・梁などの構造体をイメージしがちですが、実際の建物では天井、照明、ガラス、間仕切り、設備などの非構造部材も大きく揺れます。これらが脱落・破損すると、避難経路を塞いだり、利用者にけがをさせたり、建物を継続利用できなくしたりする可能性があります。

防煙垂れ壁は天井から吊り下がる位置に設置されるため、落下した場合の影響を無視できません。特に人通りが多い店舗、駅、空港、病院、ホテル、ロビーでは、頭上部材の重量と破損時の状態を含めて検討することが重要です。

02 / LESSON

熊本地震では防煙垂れ壁の落下が確認され、国土交通省が調査対象に

2016年熊本地震では、商業施設等で防煙垂れ壁が落下した事例が報道され、国土交通省も非構造部材の被害として調査・原因分析の対象にしました。その後、防災拠点等の機能継続ガイドラインでは、構造体が大きく損傷していなくても、非構造部材の落下等で地震後の機能継続が難しくなることが課題として整理されています。

また、令和6年能登半島地震の調査でも、天井や間仕切り、ガラスなどの非構造部材に被害が確認されました。ガラスでは面ガラスの破損や特殊な支持構法の被害も報告されており、地震動に対する追従性の確保が引き続き重要なテーマです。

地震対策の視点

「落ちないこと」だけではなく、構造体の変形に追従できるか、周辺部材と衝突しないか、地震後に点検・補修しやすいかまで含めて考えます。

03 / DESIGN

国の建築設計基準でも、非構造部材に「追従性」と「地震力への安全性」を求める

国土交通省の「建築設計基準(令和7年改定)」では、建築非構造部材について、構造体の層間変形に対する追従性と地震力に対する安全性を確保すること、さらに他の設備の機能を阻害しないこと、地震後の点検・補修を行いやすくすることが示されています。

防煙垂れ壁そのものを個別に規定した一般建築物向けの仕様ではありませんが、頭上の非構造部材を選ぶ際の考え方として参考になります。支持部を過度に剛結して建物の変形を直接受けるのか、変位を逃がす構造になっているのかは重要な確認点です。

04 / GLASS

ガラス製では、重量・破損・支持部の3点をセットで確認する

板ガラス製防煙垂れ壁は透明性が高く、固定式の代表的な方式です。一方で、ガラスは重量が大きく、地震時に割れた場合には破片飛散への配慮が必要です。ガラスの種類、厚み、支持方法、周囲クリアランスなどによって安全性は変わるため、「ガラスだから危険」と一括りにするのではなく、具体的な構造を確認することが大切です。

既存建物では、支持部や天井下地が長年の使用で劣化していないかも確認します。小さな欠けやひびが見つかった場合は、専門業者による判断が必要です。

05 / LIGHTWEIGHT

不燃シート製の大きなメリットは「割れない」と「軽い」を同時に実現しやすいこと

不燃シートは板ガラスのように脆性破壊して破片になる材料ではありません。パラスモークでは、テンションタイプでガラス製防煙垂れ壁の約1/30、パネルタイプで約1/10の軽量化を目安としています。

テンションタイプには、建物の揺れや歪みに追従できるよう端部に変位を許容する特許構造を採用しています。軽量化だけでなく、「どのように支持し、変形を受け流すか」を合わせて検討することで、地震時のリスク低減につながります。

06 / CHECK

地震対策として確認したい6つのポイント

01

重量

1m当たり・1㎡当たりの重量と支持下地への負担。

02

破損時の挙動

割れ、飛散、脱落が起きた場合の二次被害。

03

追従性

層間変形や天井・壁の相対変位に追従できるか。

04

周辺部材

天井、照明、設備、サインとの衝突や干渉。

05

点検性

地震後に支持部や部材の状態を確認しやすいか。

06

交換性

損傷時に部分交換できるか、復旧に要する時間。

07 / AFTER EARTHQUAKE

大きな地震の後は、見た目に異常がなくても支持部まで確認する

地震後は、垂れ壁の傾き、シートやガラスの損傷、フレームの変形、固定金物の緩み、天井との取り合い、周辺設備との接触跡などを確認します。可動式であれば作動確認も必要です。

国土交通省の保全資料でも、防煙垂れ壁について損傷・亀裂等がある場合は専門業者へ調査・補修を依頼する考え方が示されています。安全に関わる部位のため、自己判断で固定方法を変更したり、位置を移動したりしないことが重要です。

施設管理者へ

地震後の点検項目をあらかじめ施設のBCPや保全計画に入れておくと、復旧判断を早めやすくなります。

08 / FAQ

防煙垂れ壁の地震対策でよくある質問

Q. 防煙垂れ壁は耐震基準が決まっていますか?

建築基準法上の防煙壁・排煙設備としての基準と、非構造部材としての耐震安全性は別の観点です。個別製品の支持構造、建物条件、設計条件を確認してください。

Q. 軽ければ地震対策として十分ですか?

軽量化は重要な要素ですが、それだけで十分とは限りません。支持方法、変位への追従性、周辺部材との干渉、施工品質を含めて検討します。

Q. 地震後に小さなズレがあるだけなら使い続けても大丈夫ですか?

ズレの原因が支持部の変形や固定金物の緩みである可能性もあります。防煙区画の機能に関わるため、専門業者に確認を依頼してください。

REFERENCE

参考資料

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